科学・テクノロジー: 2008年10月アーカイブ
サイエンティストの仕事論
ゆらぐ脳(木村俊介・池谷裕二著)
<文芸春秋>定価1,238円+税
目次は次の通りです。
第1章 脳を分かる
(パーツをきわめても、脳は分かりません。/世界最新の脳の記録方法を開発したら、「発見」が押し寄せてきました。/「発見」は、たどり着くものではなく、生まれるもの? ほか)
第2章 脳を伝える
(サイエンスの評価は論文の成否に左右されます。/サイエンスにプレゼン能力は必須?/実験や発見ができても、論文が書けなければオタクで終わる? ほか)
第3章 脳はゆらぐ
(「何がやりたいか」より「何を試すことができるか」が大切です。/「科学的な論理を詰める」よりも「好奇心」を先に走らせたら、どうでしょう。/脳の「ゆらぎ」は「ノイズ」だと思われていました。 ほか)
科学の仕事は
プレゼンテーション能力が
決め手なんです。
現役最前線の脳研究者が語る
サイエンスの世界。
こんな
サイエンティストの仕事論があったのか
と驚きの世界です。
著者が
ボヤキを語ったような本
という通り、
肩の力が抜けた本なので、
ゆったりと読める本です。
生きているとはどういうことか
生物と無生物のあいだ(福岡伸一著)
<講談社現代新書>定価740円+税
目次は次の通りです。
ヨークアベニュー、66丁目、ニューヨーク
アンサング・ヒーロー
フォー・レター・ワード
シャルガフのパズル
サーファー・ゲッツ・ノーベルプライズ
ダークサイド・オブ・DNA
チャンスは、準備された心に降り立つ
原子が秩序を生み出すとき
動的平衡とは何か
タンパク質のかすかな口づけ
内部の内部は外部である
細胞膜のダイナミズム
膜にかたちを与えるもの
数・タイミング・ノックアウト
時間という名の解けない折り紙
生きているとは
どういうことか
謎を解くカギは
ジグソーパズルにあるのです。
分子生物学がたどりついた
地平を平易に明かし、
目に映る景色を
ガラリと変える書です。
ちょっと
硬い内容ですが、
生物好きな方には
興味湧く本だと思います。
知的冒険
現代物理学がわかる10章(メンデル・サックス著)
<青土社>定価1,900円+税
目次は次の通りです。
1 科学の哲学
2 現代物理学の先駆けとなった古典的な諸概念
3 19世紀の物理学―原子論と連続性
4 初期の異常と素粒子
5 旧式の量子論から量子力学へ
6 量子力学―ハイゼンベルクの行列力学とコペンハーゲン学派
7 相対性理論の諸概念
8 特殊相対性理論から一般相対性理論へ
9 宇宙
10 量子力学と相対性理論の基礎における対立
ガリレオ、
ニュートンの古典から、
量子力学、
相対性理論や宇宙論などの
最新トピックまで、
現代物理学が対峙する
さまざまな難問に
大胆・簡潔に
アプローチする書です。
自然界の法則を究めんとする、
現代物理学の
最先端で展開されている
事象とは―。
その深遠な
面白さの中心部分が、
定説に捉われず
数式も使わず
手掴みにされた
知的冒険です。
現代物理学の
変遷が理解できる書です。
ビッグバン宇宙論
宇宙創成はじめの3分間(S・ワインバーグ著)
<ちくま学芸文庫>定価1,200円+税
目次は次の通りです。
1 序章:巨人と雌牛
2 宇宙の膨張
3 宇宙マイクロ波輻射背景
4 熱い宇宙の処方
5 最初の3分間
6 歴史的なよりみち
7 最初の100分の1秒間
8 エピローグ:これからの展望
原著者追補1 1976年以降の宇宙論
原著者追補2 1977年以降の宇宙論
解題『宇宙創成はじめの3分間』(佐藤文隆)/補遺
有史以来、強烈なイメージを伴って人類が語り続けてきた宇宙誕生の物語。
物理学の知識や天体観測の技術が飛躍的に向上した現在、
われわれが「見る」ことのできる天地創造はどのようなストーリーなのでしょう?
ワインバーグの易しく明快な語り口をガイドに、
開闢間もない宇宙の姿を目の当たりにできます。
原著が出版されてからCOBE衛星による
最近の観測までを概観した
原著者自らによる追補を新たに収録、
「ビッグバン宇宙論」を一躍有名にした
古典的名著の決定版です。
ちょっと硬くてマニアックな本ですが、
宇宙が好きな方にはお勧めです。
物質の究極の要素は「粒子」ではなく「ひも」
超ひも理論への招待(夏梅誠著)
<日経BP社>定価1,800円+税
目次は次の通りです。
第1部 ストリングの奏でる偏光
(ストリングのあらまし/偏光―素粒子が持つ偏りの性質/ループ状のストリングが運ぶ重力 ほか)
第2部 ストリングと量子力学
(宇宙の音を奏でるストリング/身近な疑問からはじめる量子力学/最小の長さ?―プランク長さの物語 ほか)
第3部 ストリングの歴史
(超ひも理論誕生を支えた日本人たち/統一の胎動/第二次超ひも理論革命 ほか)
5次元時空のブラックホールと4次元時空のゲージ理論は同等なのです。
超ひも理論を使ってブラックホールのホログラムを作ります。
かなり難しい内容ではありますが、
図解を豊富にわかりやすく書かれていると思います。