歴史・地理: 2016年9月アーカイブ
著者ならではの視点で読み解く一冊
歴史が面白くなる東大のディープな日本史(古代・中世編) [ 相澤理 ] |
目次は次のとおりです。
第1部 古代(古代の朝廷はなぜ白村江の戦いに臨んだのか?
(92年度第1問)/古代の朝廷の外交の「たて前」と「実際」とは?(03年度第1問)/郡司は地方支配にどのような役割を果たしたか?(88年度第1問)/平安初期に律令国家や文化はどのように変化したか?(05年度第1問)/摂関政治と院政の違いは何か?(78年度第1問) ほか)
第2部 中世
(平氏はなぜ政権を奪取できたのか?(06年度第2問)/北条氏はなぜ将軍になれなかったのか?(97年度第2問)/元寇で武士たちは「国」を背負って戦ったのか?(93年度第2問)/一揆の団結力のみなもとは何か?(08年度第2問)/能や侘び茶はどのようにして生まれたのか?(99年度第2問) ほか)
東京大学の入試で出題される日本史の問題は、“知っていれば解ける”類のものではなく、歴史学的な視点をもとにしなくては解答までたどり着けない「良問」といわれています。
そんな東大日本史入試問題を題材に、日本の「古代・中世史」における出来事や制度の“あまり知られていないトピックス”について、
著者ならではの視点で読み解く一冊です。
なかなか面白い切り口の本です。
<印象に残った一文>
「二度読んで初めて読んだといえるのです。」
新・人類進化史
世界をつくった6つの革命の物語 [ スティーブン・ジョンソン ] |
目次は次のとおりです。
序章 ロボット歴史学者とハチドリの羽
第1章 ガラス
第2章 冷たさ
第3章 音
第4章 清潔
第5章 時間
第6章 光
終章 タイムトラベラー
「ガラス」「冷却」「録音」「浄水」「時計」「光」。
この六つの大発明は、その時々で直面する問題に取り組むなかで予想外に生み出された。
著名人から知られざるアマチュアまで様々な発明家に光を当てながら、人類進化の歴史をたどる書です。
今の自分が先人の歴史の上にあることを実感します。
<印象に残った一文>
「ある分野のイノベーション、又はイノベーション群が最終的にまるで違うように思われる領域に変化を引き起こす。」
日本人捕虜、よみがえる肉声
密室の戦争 [ 片山厚志 ] |
目次は次のとおりです。
第1章 密室からの呼び声
第2章 狙われた海軍エリート士官
第3章 緻密を極めた連合軍の捕虜戦略
第4章 何でもしゃべる男
第5章 「命令」が兵士にもたらしたもの
第6章 ついに帰らなかった水兵
第7章 日本兵への呼びかけ
第二次大戦中、太平洋の激戦地で捕虜となった日本兵。
その尋問録音記録に残されていた衝撃の告白とは?
連合軍の緻密な情報戦と冷徹な捕虜分析のもと、密室でただ一人、追及され、自問もし続けた戦争の意味。
自棄、苦悶、誘惑、吐露、絶望、選択、逡巡、沈黙、すべてを孤独に背負わされる戦争の真実ー国が戦争をするのではない、人が人を殺すのだ。
尋問室での壮絶な闘いを再現するドキュメンタリーは、戦争の恐ろしさを実感させます。
<印象に残った一文>
「人を殺した記憶を背負うのは、国家ではなく、一人一人の人間になる。」
人の心を動かすレトリックは大統領に学べ!
大統領の演説 [ パトリック・ハーラン ] |
目次は次のとおりです。
第1章 大統領の言葉は歴史を創る
第2章 大統領に学ぶ「ツカむ!話術」
第3章 危機を救った大統領 フランクリン・ルーズベルト
第4章 ビジョンを示したカリスマ ジョン・F.ケネディ
第5章 ザ・グレート・コミュニケーター ロナルド・レーガン
第6章 初の黒人大統領 バラク・オバマ
第7章 2016年大統領選候補者 ヒラリー、トランプ、サンダース
付録 オバマ広島演説
ケネディ、オバマ、ブッシュなど時に夢を語り、時に危機を煽って世界を動かしてきた大統領たちの話術を解説してくれます。
トランプ、ヒラリーら大統領候補者についても言及しています。
英語学習にも最適な書です。
<印象に残った一文>
「アメリカ人にとっての「war」は、言葉の裏側に「正義のため」というニュアンスが含まれています。」
一神教のタブーと民族差別
逆説の世界史(2) [ 井沢元彦 ] |
目次は次のとおりです。
序章 一神教の起源ー地球人によって創られたという「仮説」
第1章 ユダヤ教と『旧約聖書』の謎ー絶対神ヤハウェが預言者モーセに示した「約束の地」
第2章 キリスト教と『新約聖書』の謎ー「神の子」として誕生したイエス・キリストの大矛盾
第3章 イスラム教と『コーラン』の謎ーアッラーの「最後の預言者」と後継者の正統性
第4章 十字軍遠征と聖地エルサレムーキリスト教vsイスラム教「連鎖する憎悪」の原点
第5章 オスマン帝国の崩壊と中東戦争ーイスラム教社会の衰退を招いた最大の要因
キリスト教徒は約21億人、イスラム教徒は約12億人、つまり全人類の2人に1人が一神教の信者である。
彼らはなぜ憎しみあい、平和共存することができないのか?
偏見や差別を超越した視点で、「通史としての世界史」に挑む新たなライフワーク書です。
日本人には馴染みの薄い、宗教の本質を学べます。
<印象に残った一文>
「「二度殺されかけた」ユダヤ民族は、「三度目の殺人実行者」が出てくる事を極端に恐れている。少しでもその素振りを見せる敵がいれば、徹底的に助かります叩かなければ心理的安定を得られないのであろう。」