ノンフィクション: 2008年9月アーカイブ
諜報員たちの戦後
陸軍中野学校の真実(齋藤充功著)
<角川文庫>定価552円+税
目次は次の通りです。
序章 秘密戦士たちの留魂祭
第1章 陸軍中野学校とは
第2章 知られざる中野学校秘話
第3章 “戦犯”となった卒業生とGHQ潜入工作
第4章 下山事件との関わり
第5章 幻の教材発掘
第6章 陸軍中野学校と戦後諜報機関
第7章 「最後の抑留者」の証言
終章 陸軍中野学校の戦後を追って
追補 皇統護持本丸作戦
陸軍中野学校は日米開戦前夜の昭和13年、諜報員を養成する目的でつくられました。
卒業生たちは、大陸や東南アジアで諜報活動に従事しましたが、
終戦とともに組織は解体されます。
しかし、戦後、卒業生たちが歩んだ道は、決して平坦なものではなかったのです。
GHQ潜入工作、皇統護持計画、そして下山事件―関係者たちの肉声を集め、
昭和史の裏側に光を当てるノンフィクションです。
かなり硬い内容ですが、歴史の表舞台に上がることのなかった
中野学校の真実を垣間見れる本です。
27万人の巨大組織の素顔
続警察裏物語(北芝健著)
<パジリコ株式会社>定価1,200円+税
目次は次の通りです。
第1章 続・伝説の警察官
第2章 ヤクザと警察官
第3章 日本の警察、アメリカの警察
第4章 続・素顔の警察官
第5章 公安警察、姿なき最前線捜査官
第6章 仕事のできる警察官、できない警察官
第7章 どうなるこれからの日本の犯罪
人間だもの、警官だって!
ベストセラー警察裏物語、待望の続編。
今度もめちゃくちゃ面白い「本当の話」です。
何となく警察に対しての親近感を覚えてしまう本です。
談志一代記
人生成り行き(立川談志著)
<新潮社>定価1,400円+税
目次は次の通りです。
第1回 落語少年、柳家小さんに入門する
―十四の頃には、落語家になろうと決めてました
第2回 “理不尽な世界”の前座修業
―最初から、自分がうまいことに気付いた
第3回 二つ目小ゑん、キャバレーを席捲す
―ああいう修羅場を踏んだ落語家はいなかったでしょう
第4回 結婚、そして先を越された真打昇進
―志ん朝の真打昇進が決まった時、「辞退しろよ」と迫った
第5回 だから政治家になってみた
―タレント議員がブームなら、それに乗らない奴は芸人じゃない
第6回 選挙くせものこわいもの
―あたしのことだ、一年もやりゃあ、政界の要領はおぼえました
第7回 この時、芸に“開眼”した
―この言葉をここで使ってもいいと思いますが
第8回 落語協会分裂、立川流創設へ
―飛び出る不安よりも、こんなところにいる不満のほうが
第9回 談志落語を自己分析すれば
―おれが縋れるのは落語しかない
第10回 落語家という人生
―お前も、おれみたいに狂わずにはいられなくなる(ゲスト/立川志の輔)
「百年に一人」と賞される現代落語界の至宝、
立川談志はその挿話と騒動の多彩さもまた国宝級です。
戦時中の少年時代から真打昇進をめぐるごたごた、
鳴り物入りの政界進出、落語協会脱退と立川流創設の裏話、
そして芸談と私生活まで。
著者の人となりを知ることができる本です。
「女の子」としての人生再スタート
わたし、男子校出身です。(椿姫彩菜著)
<ポプラ社>定価1,200円+税
目次は次の通りです。
1 私には「しっぽ」がついていた
(みんなの期待を背負って/性同一性障害という言葉を知っていますか? ほか)
2 「しっぽ」を呪った10代
(恐怖のママと成長期/ついに多感な中学生に! ほか)
3 本物の女たちと「しっぽ」がある女たち
(女子大生の「私」/もう、大学生なんて最悪だ! ほか)
4 「しっぽ」にさようなら
(どんどん女に近づく私/今度はおっぱいです ほか)
5 はじめまして。有里です
(親戚との対面/本物の女子大生になって復学!)
話題のニューハーフモデル、初のエッセイです。
生まれたときは男の子、今は現役女子大生。
心は女の子なのに、身体は男の子として生まれてしまった著者が、
家族との絶縁、恋の苦悩、社会的偏見、命がけの手術等々
さまざまな困難と向き合い、
「女の子」として人生を再スタートさせるまでを描きます。
表紙を見ると以前は男性だったとはまるでわからないほど美しい女性です。
この本を読んでニューハーフに対する見方がはっきりと変わりました。
著者の真剣に生きる姿は心を打ちます。
日本交通3代目社長「新人ドライバー日誌」
タクシー王子、東京を往く(川鍋一朗著)
<文芸春秋>定価1,350円+税
目次は次の通りです。
2007年
(私はなぜタクシーに乗るのか/社員へのドライバー宣言/同乗指導でさっそくパニック!/大晦日、いざ出陣!)
2008年
(お正月、澄んだ空気のなかを往く/「お客さま、道に不案内なもので…」/車内全面禁煙が始まった/タクシー仁義なき戦い ほか)
「タクシー運転手になります!」
売上高日本一のタクシー会社の三代目若社長が突然宣言。
でも、最大の弱点は「道を知らないこと」。
果たして、激務にどう立ち向かったのか―。
笑いあり、涙あり、意外な出会いあり…心温まる奮闘劇です。
社長が運転手とは意外ですが、実直な人柄を感じさせる本です。
タクシーを使うときには日本交通を使いたくなってしまいました。(笑)
ベトナムで50万人が号泣
トゥイーの日記(ダン・トゥイー・チャム著)
<経済界>定価1,524円+税
目次は次の通りです。
1冊目の日記(1968年~1969年)
(1968年4月~8月戦場での暮らし/1968年9月~12月トゥイー党員になる/1969年1月~4月新しい年/1969年5月~8月ケーサイン越え/1969年9月~12月ホーおじさんの死)
2冊目の日記(1970年)
(1970年1月~3月ハノイを想う/1970年4月~6月取り残されて)
2005年4月、突然アメリカから送られてきたのは、
35年前に戦争でなくなった娘の日記だった。
ベトナムで50万人が号泣した歴史に残る感動の大ベストセラーです。
自分の信念のもと活動した著者の日記は魂を揺さぶります。
自分自身の生き方を問いかける本です。
すべてを患者さんのために捧げた男
神の手のミッション福島孝徳(徳間書店取材班編)
<徳間書店>定価1,500円+税
目次は次の通りです。
第1章 「神の手」による超精密鍵穴手術
第2章 Dr.福島に再び人生を授けられた人々
第3章 最先端の手術に不可欠な福島オリジナル手術器具
第4章 世界最高峰の脳外科医への道
第5章 若手医師の育成に意欲を燃やす
第6章 福島孝徳記念クリニックに賭ける情熱
第7章 不良少年が医学の道を志す
第8章 明治神宮を救った父・福島信義
第9章 家族愛を超越した「人類愛」
第10章 ミッション(使命)を果たすために
第11章 21世紀の脳外科治療脳ドックのすすめ
「最後の切り札」と呼ばれる世界一の脳外科医は
「朝に、昼に、晩に、患者さんを見なさい」と説き
24時間患者さんのために闘い続けます。
脳外科医からの魂のメッセージは心を打ちます。
井山三希子の日々の暮らしと仕事
作ること暮らすこと(井山三希子著)
<産業編集センター>定価1,600円+税
目次は次の通りです。
第1章 藤野の暮らし(青木さんの話/古い家を活かす ほか)
第2章 作ること(愛媛1993~1997/静岡1997~2000 ほか)
第3章 食べること(台所/器と食 ほか)
第4章 選ぶこと(ものを選ぶ/日本の古い器 ほか)
第5章 出会うこと(出会い/RARI YOSHIOさん ほか)
舟形鉢、ピッチャー、面取りボール…
白と黒の器の作り手、著者井山三希子の日々の暮らしと仕事です。
写真が豊富に掲載されており、写真集としても楽しめます。
性犯罪の心の痛み
性犯罪被害にあうということ(小林美佳著)
<朝日新聞出版>定価1,200円+税
目次は次の通りです。
事件
日常生活
二次被害
ゼロ地点
放熱
合流
それから
最後に伝えたいこと
2000年8月31日、
著者は生まれてから24年間住み慣れた街で性犯罪被害にあいます。
その日から変わってしまった身体・考え方やものの見方、
家族や恋人・友人との関係。
被害者にしか語れないリアリティーいっぱいの本です。
この本を読むと性犯罪にあった方の心の痛みを感じずにはいられません。
娘をもつ父親の立場として、こういった犯罪が決して起こらない
世の中になって欲しいと切に願います。
そして実名で立ち上がった著者の勇気には本当に頭が下がる思いです。