社会・政治: 2021年12月アーカイブ
ビッグテックは世界をどう支配してきたか
目次は次の通りです。
イントロダクション
第1章 私たちの道がたどりついた場所
第2章 忘れ去られた第二次世界大戦の教訓
第3章 独占禁止運動の系譜
第4章 独占禁止法の黄金時代ー一九五〇~一九六〇年代
第5章 巨大テクノロジー企業との戦いー一九八〇~一九九〇年代
第6章 新自由主義のゆるがぬ勝利
第7章 グローバル化時代の独占問題
第8章 ビッグテック台頭
結びにかえて 独占企業を解体させる五つの提言
格差拡大、世界経済の低迷の原因は、巨大なグローバル企業による独占と寡占が進んだ結果、市場の競争原理と新規参入がはばまれ、イノベーションが妨げられたからだー。
GAFAなどのテクノロジー産業の寡占に象徴されるこの状態を説明するため、著者は独占禁止法の歴史をひもとき、19世紀末の反トラスト法から、今日の独占禁止法が置かれている状況までを概説する。
日本の財閥とナチス・ドイツの経済政策についても検証、戦後の日本経済の躍進と西ドイツの奇跡的な復興こそ、財閥解体とオルド自由主義による独占排除によってもたらされた証しだと主張する。
日本が「失われた30年」の低迷から抜け出せられない真因は何か。
オバマ政権の国家経済会議(NEC)のメンバーとして競争政策を担当し、「ネットワーク中立性」の提唱者としても知られる著者が徹底分析する。
今後の潮流を読む上で参考になる書です。
<印象に残った一文>
「経済が停滞したのは巨大なグローバル企業による独占と寡占が進んだ結果、市場の競争原理と新規参入が阻まれ、イノベーションが妨げられたからだ。」
人間互換の知能をつくる
目次は次の通りです。
1 もし本当に成功したら
2 人間の知能、機械の知能
3 AIはこれからどう進歩しうるか?
4 AIの悪用
5 知能が高すぎるAI
6 いまひとつのAI議論
7 AI──別のアプローチ
8 有益だと証明できるAI
9 問題を複雑にする存在──私たち
10 問題は解決?
付録A 解の探索
付録B 知識と論理
付録C 不確実性と確率
付録D 経験から学習する
「問題はずばりAIの基本定義にある。
機械はその行動がその目的を達成すると見込める限りにおいて知能を備えている、と私たちは言うが、その目的が私たちの目的と同じだと確かめるための信頼に足る方法がない...ならば、こんな定義はどうか。
《機械は、その行動が私たちの目的を達成すると見込める限りにおいて、有益である》...こうした機械にとって、私たちの目的が不確実になることは避けられない...目的に不確実性があると、機械は意思決定を人間に委ねざるをえなくなる。
修正を受け入れ、スイッチを切られることを厭わなくなる。
機械は決まった目的をもつべきという前提を取り払うなら、
私たちが試みている基本定義を、すなわち人工知能の土台を、一部取り払って置き換えなければならない。
ということは、AIを実現するためのアイデアや方式の蓄積という母屋の大半をつくりなおすことにもなる。
すると人類と機械とのあいだに新たな関係が生まれるだろう。
私はこの新たな関係が、これから数十年の人類を成功へ導いてくれると願っている」
全世界で使われるAIの標準的教科書の著者が、安易な脅威論を超え、ヒトとAIの新たな関係を提案する書です。
今後の潮流を読む上で参考になる書です。
<印象に残った一文>
「文明の差し出すものはどれもわしたちの知能の産物だ」
安倍家長男が語る家族の日常
目次は次の通りです。
第1章 安倍家を語る
(祖父が勧めた成蹊小学校/体力的、精神的に鍛え上げられた夏合宿 ほか)
第2章 政治家の道を選んだ弟
(伸び伸びとした学園生活/「桃李不言 下自成蹊」の資質 ほか)
第3章 祖父・安倍寛を語る
(もうひとりの祖父/親を知らずに育つ ほか)
第4章 祖父・岸信介を語る
(少年時代の信介に影響を与えた人たち/岸信介刺される ほか)
第5章 私の人生を生きる
(おっとりしていたという子ども時代/「ツバメ返し」の得意な子どもだった ほか)
岸信介、安倍寛を祖父に、安倍晋太郎を父に持つ安倍家の長男から見た政治一家の家族の素顔。
長男はビジネスの道に、弟晋三と信夫は政治の道へ進んだ。
3兄弟の少年時代、山口県青海島で過ごした夏休み、写真でしか知らない祖父安倍寛の足跡、せっかちな父・晋太郎との思い出、好々爺の祖父・岸信介とのふれあいと知られざる逸話、母・洋子が暮らす富ヶ谷の日常、政治家の家庭生活、長男が政治家を目指さなかった理由などを素直に語る書です。
安倍元首相の実像が見えてきます。
<印象に残った一文>
「頭はいつも使って、心はいつも和やかなことを思う」
倦み疲れ、燃え尽きる現代社会への哲学的治療の試み
目次は次の通りです。
序 疲れたプロメテウス
精神的暴力
規律社会の彼岸
深い退屈
活動的な生
見ることの教育学
バートルビーの場合
疲労社会
燃え尽き症社会
私たちはいつまで「できること」を証明し続けなければならないのか?
絶え間ない能力の発揮と成果を求められる現代社会。
「主体性」を祭り上げ、人々が互いにせめぎ合い、自己さえ搾取せざるを得ない社会構造。
この現代の病理を特異な感性から解き明かし、「創造性」「和解」をもたらす新たな「疲労」のかたちー
「なにもしない」ことの可能性を探る。
ドイツ観念論から出発し、現代思想界の先端を走るビョンチョル・ハン、
その代表作にしてヨーロッパ20カ国以上で刊行されたベストセラー、待望の邦訳。
倦み疲れ、燃え尽きる現代社会への哲学的治療の試み。
今後の潮流を読む上で参考になる書です。
<印象に残った一文>
「21世紀の社会はもはや規律社会ではなく、能力社会である。」
指導者一六人の肖像
目次は次の通りです。
歴史としての平成日本政治
第1部 五五年体制終焉と「政界再編」の只中で
(宇野宗佑・海部俊樹・宮澤喜一ー経世会に翻弄された宰相たち/細川護煕・羽田孜ー改革派政権の誕生と限界/村山富市ー過去への良心と未来への無関心/橋本龍太郎ー統治機構改革の礎石/小渕恵三ー「凡人宰相」の非凡さ/森喜朗ー過小評価された端境期の宰相)
第2部 「小泉劇場」から「ねじれ国会」へ
(小泉純一郎ー「市民感覚」の政治、制度的権力の勝者/安倍晋三(第一次)-理念の実現を目指した果てに/福田康夫ー「外交族」宰相の面目/麻生太郎ー「経済通首相」の不運と誤算)
第3部 民主党政権と「安倍一強」
(鳩山由紀夫ー理想主義と権力の狭間で/菅直人ー現代日本のセルフメイド・マン/野田佳彦ー統治責任の模索/安倍晋三(第二次)-「一強」政権の虚実)
30年にわたる平成期において、日本政治は、度重なる政権交代や連立組み替えなど、流動的かつ激しい展開を見せてきた。
だが、たんに混迷の時代だったとは言えない。
冷戦終結後の世界にあって日本は、新たな目標を探し求めてきた。
本書は平成政治の最高指導者である首相16人に着目し、様々な模索と挑戦の軌跡を明らかにする。
ここに平成政治史の本格的な見取図を提示し、次の時代を切り開く手がかりも見出す。
今後の潮流を読む上で参考になる書です。
<印象に残った一文>
「平成は流動的な時代であった」
自己の内面の力による新型コロナウイルス感染対策を紹介
目次は次の通りです。
はじめにー「ワクチンさえ打てば大丈夫」の期待が高まるなかで
第1章 新型コロナの感染流行で私たちが見過ごしてきたこと
(日本の陽性者は100万人を突破し、死亡者も1万5000人超...。新型コロナ、2年目の「実像」と、見過ごしてきた「5つの誤解」/日々伝えられる「陽性者」と「感染者」の誤解。PCR検査でウイルスが検出されると「陽性」となるが、じつは、そのまま「感染」ということではない ほか)
第2章 ワクチンを打つということ
(日本で使用が特例承認された3種類のワクチン。海外での臨床試験結果を評価しているため、国内での臨床試験例は200例規模/新型コロナワクチンの接種開始後159日間での「副反応疑い報告」は、わずかに0.03%。「3866人にひとり」とは、実態からかけ離れていないか ほか)
第3章 新型コロナと免疫力
(免疫とは「異物」を排除する体のしくみ。新型コロナウイルスがのどや気道に入ってきても正常に働けば感染を防いでくれるもの/異物をブロックするために最初に働くのが自然免疫系。白血球などのほか、皮膚、唾液、胃液、そして腸内細菌も働く ほか)
第4章 不自然な生活をあらためて自然治癒力を引き出す
(まずは自分の生活を見直す。それが自己軸による感染を恐れない生き方につながっていく/病気にならないように予防することは重要だが、それは予防接種を受け、人間ドックを受けることではない ほか)
ワクチンにすべてを託すのではなく、「免疫力」と「抵抗力」「解毒力」を生活のなかで高めよう。
自然に沿った暮らしを実践するなかでの、自己の内面の力による新型コロナウイルス感染対策を紹介する。
今後の潮流を読む上で参考になる書です。
<印象に残った一文>
「すべての病気の原因は自然の仕組みに反した生活にある。」
7割テレワークでも生産性が日本の1.5倍の秘密
目次は次の通りです。
第1章 ドイツではなぜ、出社しない働き方が普及したのか
ーー自宅でも成果を挙げられることをみんなが学んだ国
第2章 「むやみに出社させない国」に進化したドイツ
--今、加速する「インダストリー4.0」
第3章 「ひとりひとりがマイペースで働く権利」を保障する国
ーードイツ流・働きすぎを防ぐ仕組み
第4章 経済的な豊かさよりもオフタイムを大切にするドイツ人
ーーお金の奴隷にならない生き方
第5章 人とつながり、幸せを分かち合う国・ドイツ
--人生にゆとりを生み出すヒント
「出社して働いた方が、成果が出る」という考え方が、いまだに根強い日本。
それに対してドイツではコロナ危機勃発以降、テレワークが急速に広まり、すでに「むやみに出社させない社会」が出来上がりつつある。
好きな場所、好きな時間に働いて、効率よく成果を出す。
オフタイムを充実させてワークライフバランスを高める...。
ドイツに30年以上暮らす著者が教える、ドイツ人流・消耗しない働き方。
今後の潮流を読む上で参考になる書です。
夜の世界の緊急事態
目次は次の通りです。
第1章 LINEの通知が鳴りやまないー風テラスの百日戦争・前半戦
第2章 崖っぷちの性風俗ー風テラスの百日戦争・後半戦
第3章 立ちはだかる「性風俗の壁」
第4章 歌舞伎町に立つ
第5章 夜の世界を孤立させるな
終章 誰もが性風俗の当事者に
二〇二〇年、夜の世界はかつてない危機に直面した。
新型コロナの感染拡大により性風俗店への客足が途絶え、働く女性たちは瞬く間に収入と居場所を失った。
窮状を誰にも話せず、公的支援からも排除されたまま、孤立と貧困に苦しむ彼女たちを助けるために、
これまで声を上げなかった人たちが声を上げ、動いた。コロナ禍を生き延びるため、夜の世界と昼の世界との間に橋を架けるための苦闘に内側から迫ったドキュメント。
今後の潮流を読む上で参考になる書です。
<印象に残った一文>
「物理的には全く動かなかったにもかかわらず、自分も社会もメチャメチャ「動いた」という、本当に不思議な1年間だった。」
ロングセラー『大学とは何か』の待望の姉妹編
目次は次の通りです。
序章 大学の第二の死とは何かーコロナ・パンデミックのなかで
第1章 大学はもう疲れ果てているー疲弊の根源を遡る
第2章 どれほどボタンの掛け違いを重ねてきたのかー歴史のなかに埋め込まれていた現在
第3章 キャンパスは本当に必要なのかーオンライン化の先へ
第4章 九月入学は危機打開の切り札かーグローバル化の先へ
第5章 日本の大学はなぜこれほど均質なのかー少子高齢化の先へ
第6章 大学という主体は存在するのかー自由な時間という稀少資源
終章 ポストコロナ時代の大学とは何かー封鎖と接触の世界史のなかで
パンデミックで窮状が白日の下に晒された日本の大学。
不可避の人口減、襲いかかるオンライン化の奔流、疲弊する教員、逼迫する資金、低下する国際評価ー。
危機の根本原因はどこにあるのか。
大学の本質を追究してきた著者が、「時間」をキー概念に提案する再生のための戦略。
ロングセラー『大学とは何か』の待望の姉妹編。
今後の潮流を読む上で参考になる書です。
<印象に残った一文>
「日本の大学は、実は大学=ユニバーシティではなかったのだ」
歴史民俗学者が考察する呪術の系譜
目次は次の通りです。
第1章 陰陽師の呪詛
第2章 呪詛を請け負う陰陽師
第3章 密教僧の呪詛
第4章 怨霊・悪霊になった密教僧
第5章 巫と法師陰陽師
第6章 奇妙な呪術者たちの奇妙な呪術
第7章 呪術の魅力
空海VS修円、安倍晴明VS式神。
歴史民俗学者が考察する呪術の系譜。
いろいろな気付きを与えてくれます。
<印象に残った一文>
「呪術が最も盛んに行われていた平安時代の歴史は、かなりの程度に呪術の歴史であって、呪術に触れることなしには成り立たないはずなのである。」
必読の教科書
目次は次の通りです。
第1章 感染症とは何か
第2章 日常のなかの感染症
第3章 次々と発生する新興感染症
第4章 新型コロナウイルス感染症とはどんな病気か
第5章 感染はどうしたら防げるか
第6章 社会問題としての新型コロナ
第7章 SNS時代の感染症
終章 次のパンデミックに備える
世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症。
症状はどんな経過をたどり、どんな治療が行われるのか?
他の感染症と比べてどんなところが怖く厄介か?
感染はどうしたら防げるか?
ワクチンはどのぐらい有効なのか?
そもそも感染症とは何か?
新型コロナの日本上陸直後から最前線で治療にあたる感染症専門医が、自身の現場での経験と最新の科学データをもとにやさしく解説。
新型コロナの正体と対処法を正しく知ってコロナ禍を乗り切り、次のパンデミックに備えるための知識も身につく、必読の教科書。
今後の潮流を読む上で参考になる書です。
<印象に残った一文>
「感染症の知識は、人間が生き延びる上で、欠かせない基礎教養だといえます。」
日本、中国、朝鮮を知り尽くす碩学による抱腹解説
目次は次の通りです。
第1章 だから中国は愛されない
第2章 中国に「やさしい」はない
第3章 諸悪の根源は中国的哲学
第4章 なぜ私たちは日本人になったのか
第5章 中国の欠点をまねる韓国人
第6章 無礼な隣国との付き合い方
外に出たら本当のことを言ってはいけない。
始皇帝と儒教が作った中国人の哲学。
その一番悪いところを吸い取った韓国人。
約束を守らない、人を尊重しない、自己中、謝らない、平気で嘘をつく...
日本人には理解できない大中華、小中華の伝統芸はどこから来たのか。
日本、中国、朝鮮を知り尽くす碩学による抱腹解説は今後の潮流を読む上で参考になります。
<印象にに凝った一文>
「中国人をだめにし、息苦しい中国人を作ったのは、米国のような帝国主義列強でもなく、誰かのせいでもなく、「中国文化」にある。」
その正体を暴く
市民目線を欠く日本の報道
「公益にかなう報道」とは何か
「リーク依存型取材」の罪
無意味な特ダネ競争
内部告発冬の時代
番犬ジャーナリズムの重要性
蔓延する推定有罪報道
権力を守る匿名報道
顔の見えない捜査官・裁判官
抗議デモと権力取材
官報複合体支える記者クラブ
オフレコ記者懇談の罠
消費者の守護神
肉体労働者から知的労働者へ
1面トップ記事の条件
ピュリツァーへの回帰
エピローグ 私が日経新聞を辞めた理由
日本メディアはなぜ政府の"広報係"にすぎないのか?
一般的にメディアは、権力の監視役だといわれる。
しかし、日本では権力の一部に組み込まれている。
官僚機構に網目のように張り巡らされた記者クラブ中心の報道は、権力側のプレスリリースを垂れ流すだけの存在となっている。
メディアと権力の癒着を示す様々な事件をもとに、その正体を暴く。
いろいろな気付きを与えてくれます。
<印象に残った一文>
「日本の官僚機構と報道機関が実質的に複合体を形成している」