文学・評論: 2008年10月アーカイブ

スタイリッシュなスパイ・ミステリー

ジョーカー・ゲーム(柳宏司著)
<角川書店>定価1,500円+税

目次は次の通りです。

ジョーカー・ゲーム
幽霊(ゴースト)

ロビンソン
魔都
XX(ダブル・クロス)

結城中佐の発案で陸軍内に設立された
スパイ養成学校“D機関”。

「スパイとは“見えない存在”であること」
「殺人及び自死は最悪の選択肢」。

これが、結城が訓練生に叩き込んだ戒律だった。

軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関”の存在は、
当然、猛反発を招いた。

だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く
「魔王」―結城中佐は、

魔術師の如き手さばきで
諜報戦の成果を挙げ、
陸軍内の敵をも出し抜いてゆく。


東京、横浜、上海、ロンドンで繰り広げられる
最高にスタイリッシュなスパイ・ミステリーです。


中野学校を思わせるスパイ活動は
とてもスリリングで
思わず又って読んでしまいました!

私のサイトです。
よろしければご覧下さい。

2000年から2008年ごろまでの国内文化

ゼロ年代の想像力(宇野常寛著)
<早川書房>定価1,800円+税

目次は次の通りです。

第 一 章 問題設定――九〇年代からゼロ年代へ/「失われた十年」の向こう側
第 二 章 データベースの生む排除型社会――「動物化」の時代とコミュニケーションの回復可能性

第 三 章 「引きこもり/心理主義」の九〇年代――喪失と絶望の想像力
第 四 章 「九五年の思想」をめぐって――否定神学的モラルのあとさき

第 五 章 戦わなければ、生き残れない――サヴァイヴ系の系譜
第 六 章 私たちは今、どこにいるのか――決断主義のゼロ年代の現実認知

第 七 章 宮藤官九郎はなぜ「地名」にこだわるのか――(郊外型)中間共同体の再構成
第 八 章 ふたつの『野ブタ。』のあいだで――木皿泉と動員ゲームの離脱可能性

第 九 章 解体者としてのよしながふみ――二十四年組から遠く離れて
第 十 章 肥大する母性のディストピア――空転するマチズモと高橋留美子の「重力」

第十一章 「成熟」をめぐって――新教養主義の可能性と限界
第十二章 仮面ライダーにとって「変身」とは何か――「正義」と「成熟」の問題系

第十三章 昭和ノスタルジアとレイプ・ファンタジー――物語への態度をめぐって
第十四章 「青春」はどこに存在するか――「ブルーハーツ」から「パーランマウム」へ

第十五章 脱「キャラクター」論――ケータイ小説と「物語」の逆襲
第十六章 時代を祝福/葬送するために――「決断主義のゼロ年代」を超えて

ゼロ年代、
つまり2000年から
2008年ごろまでの国内文化、

とりわけ
小説、映画、漫画、テレビドラマ、
アニメーションなどの「物語」に着目し
その想像力の変遷を追います。


『SFマガジン』連載に
加筆修正して単行本化した書です。

私のサイトです。
よろしければご覧下さい。

ハムナプトラ3

呪われた皇帝の秘宝(マックス・アラン・コリンズ著)
<書房文庫>定価667円+税

目次は次の通りです。

序章 悪の帝王
第1章 冒険へのいざない
第2章 けた外れの美
第3章 ジョナサンの店は千客万来

第4章 目覚め
第5章 上海受難
第6章 飛行機狂想曲

第7章 楽園への入口
第8章 雪原の戦い
第9章 シャングリラの龍

第10章 悔いのない人生
第11章 悪の心臓を貫け
第12章 次なる冒険

エジプトで
太古の眠りから覚めた
イムホテップの

邪悪な野望を阻止した縁で
結ばれた
リックとエヴリンのオコーネル夫妻。


9歳だった
息子のアレックスとともに
家族3人で

スコーピオン・キングを倒してから
13年の月日が過ぎた。


1946年のロンドン、
幸せだがちょっぴり退屈な
毎日を送っていた2人は、

外務省に頼まれ
“シャングリラの眼”と呼ばれる

巨大なブルーダイヤを返還するために
上海へやって来る。

そこで
彼らを待ち受けていたのは、
両親に内緒で大学を辞め、

現地で遺跡の発掘にいそしんでいた
息子アレックスとの
思いがけない再会だった。

その驚きに追い打ちをかけるように、
アレックスの発掘した皇帝のミイラが、
2000有余年の時を超えて
甦る事件が勃発。


またもや
スーパー・パワーを持つ
ミイラと戦うハメに陥った
オコーネル・ファミリーは、

皇帝の世界征服の
野望を阻止するべく、
ヒマラヤから万里の長城へと
冒険を重ねて行くことになる。

いやはや
今回もすごい内容です。

映画の方も
すごいCGで迫力がありそうですが、
本も負けていませんよ!

ご自分の想像力を
十分に働かせて
楽しんでください!

私のサイトです。
よろしければご覧下さい。

思わず背筋が寒くなる

私が出あった世にも不思議な出来事(聞き手:鳩山学)
<Gakken>定価1,300円+税

目次は次の通りです。

佐藤愛子―「佐藤家は大変な因縁を持っていました。それを浄化するのが私の役目だったのでしょう」

久司道夫―「人類がかかえている心身の問題は、マクロビオティックで解決できます」

桐島洋子―「組織的な宗教や人格神にはなじめませんが、人知を超えた壮大な秩序と意志の存在はひしひしと感じています」

玄侑宗久―「人間の力は計り知れない。テレポーテーションだってできるわけですよ、おそらく」

渡部昇一―「目に見えない世界も霊魂も存在する。そういう信念を持っているんです」

今田美奈子―「目に見えない力は自然現象に表れます。十七羽の白鳥が、一列に並んで私を見たり、鳳凰の形をした雲が空に浮かんでいたり…」

井沢満―「死が一巻の終わりではないことを愛犬たちが教えてくれました」

湯川れい子―「なぜ私にこんなことが?という不思議体験は、すべて人生へのエールです」

高嶋政宏―「僕を出産するとき、医師の背後に黒服の人々を見たと、母から聞いています」

高江洲薫―「過去を解き明かし、未来を語り、その方の魂を癒すことが私の使命だと思っています」〔ほか〕

佐藤愛子、
玄侑宗久、
久司道夫、

鳩山由紀夫、
渡部昇一

など、

作家から実業家まで、
各界の著名人が
自らの
不思議な体験を語る

月刊
『ムー』連載を
まとめた単行本です。

読んでいると
思わず
背筋が
寒くなる感じがします。


今の季節よりも
夏向けの書です。

私のサイトです。
よろしければご覧下さい。

だれにでもできるトレーニングの方法

知的創造のヒント(外山滋比古著)
<講談社現代新書>定価480円+税

目次は次の通りです。

1)忘却のさまざま
2)自力と他力
3)着想

4)比喩
5)すばらしきかな雑談
6)出家的

7)あえて読みさす
8)書くスタイル
9)酒を造る

10)メモ
11)ノート
12)頭のなかの料理法

すぐれた着想を得たときほど、
愉快なことはありません。


しかし、
ある時さっとひらめいた
せっかくの着想も、

日頃の、
知的創造のための
トレーニングなくしては、
本領を
発揮することはできません。


つねに
心を「白紙」にし、

柔軟にしておくこと
といった心構えから、

忘却の効用、
雑談のたのしさ、
メモの功罪、

ノート作り、
論文の作り方、
本の読み方まで

だれにでもできる
トレーニングの方法を、

古今東西の
先達の例をまじえながら、

知的センスあふれる文章で
つづります。


個性的な
思考のスタイルを確立し、
知的創造をめざす書です。


かなり硬い本ですが
いろいろな切り口を
教えてくれます。

私のサイトです。
よろしければご覧下さい。

猟師の1年間の生活

ぼくは猟師になった(千松信也著)
<リトル・モア>定価1,600円+税

目次は次の通りです。


第1章 ぼくはこうして猟師になった
(妖怪がいた故郷/獣医になりたかった/大学寮の生活とアジア放浪 ほか)

第2章 猟期の日々
(獲物が教える猟の季節/見えない獲物を探る/ワナを担いでいざ山へ ほか)

第3章 休猟期の日々
(薪と過ごす冬/春のおかずは寄り道に/夏の獲物は水のなか ほか)

獲って、
さばいて、
食べる。


狩猟8年目、
33歳の猟師の暮らし。


京都に住む若者は、
いったい何を思い
猟師になったのか?


自然と共にある生活から、
現代の食卓を見つめなおす。


獲物の解体や、
調理方法、
ワナのメカニズムを
写真と図で詳細に解説。

猟師の1年間の生活に
密着できるエッセイです。

解体の写真は
結構リアルですが、
猟師の実態を
知ることのできる
本です。

私のサイトです。
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終末医療・在宅介護を巡る想い

あの世の妻へのラブレター(永六輔著)
<中公文庫>定価552円+税

目次は次の通りです。

拝啓、あの世の昌子さん
父は男やもめ一年生
―対談・永千絵+永麻理

家族を家で看取るということ
―座談会・永千絵+永麻理+村松静子

妻という友達、妻というプロデューサー
―対談・矢崎泰久+永六輔/過ぎ去りし日々、思い出のとき

愛する妻をがんで喪くし
て―対談・田原総一朗+永六輔

僕たちの介護論
―座談会・谷川俊太郎+小室等+永六輔/昌子さんの声が聞こえる

「貴女が亡くなってから
毎日書き続けている絵葉書は
まもなく千通を越えます。

切手を貼って
ポストに入れて
配達されるのを楽しんでいます。

これから書く文章は、
貴女へのラブレターです」。


最愛の妻を
癌で亡くした
著者の心に去来する、

終末医療
在宅介護を巡る想いです。


著者の家族の
絆の強さを感じさせる
本です。


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暦の起源から相対論的“時”まで


時とはなにか(虎尾正久著)
<講談社学術文庫>定価840円+税

目次は次の通りです。


第1章 時を記録する
第2章 地球は回る
第3章 時を測る

第4章 不変の時を求める(暦表時)
第5章 時を使う
第6章 秒を決める

第7章 時を保つ
第8章 時を知らせる

第9章 時を利用する
第10章 時を考える

人々の生活の基本にあり、
日常を区切り律する「時」。

その成り立ちや
仕組みは
あまり知られていません。


幾多の不備があっても
習慣として使けられる
暦がある一方、

高い精度が
求められ
原子単位となっていく
「時」もあります。


一体「時」は
どのように決められているのか。


先人たちが
苦労を重ね定めてきた
歴史とともに、

現代的な観点も含めて、
「時」の専門家が
壮大なテーマを
易しく解説してくれます。


かなり学術的ではありますが、
時をめぐる旅
といった感じの本です。

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痛快バトル・エッセイ

レジる?レジれば…レジるとき!?(ののか恵著)
<幻冬舎>定価1,000円+税

目次は次の通りです。


あれは!?
「いらない」を!
ドキドキ
小銭入れ

「ご一緒の袋で…」
育毛剤
雨の日
美白化粧品

売り場
女として許せない男〔ほか〕

かんにん袋はレジ袋!

神様相手の
気楽な商売と思いきや…

レジおばさんと
珍客たちの修羅場を描いた、

ささっと笑える、
痛快バトル・エッセイです。


お笑い感覚で
気分転換に
軽く読める本です。

私のサイトです。
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リアル(現実世界)とメタリアル(電脳世界)

潜脳調査室(秋田禎信著)
<講談社>定価1,700円+税

2055年、リアル(現実世界)とメタリアル(電脳世界)とが存在する時代。
人々は、電脳ネットワークの中に身を置くことで理想を追い求める。

その理想とのギャップ、現実と仮想との狭間で起こる事件の調査・救難のため
“電脳ダイバー”達が暗躍する。

武闘派ジャクソン&頭脳派シムラが、人々の心の闇に潜り、謎に挑む。

はたして、「夢」とは何なのか…。


ちょっとマトリックスを思わせる小説です。

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組織の不合理性

オレたち花のバブル組(池井戸潤著)
<文芸春秋>定価1,667円+税

目次は次の通りです。

1章銀行入れ子構造
2章精神のコールタールな部分
3章金融庁検査対策
4章金融庁の嫌な奴

5章カレンダーと柱の町
6章モアイの見た花
7章検査官と秘密の部屋
8章ディーブスロートの憂鬱


巨額損失を出した老舗ホテルの再建、
金融庁“最強のボスキャラ”との対決、
出向先の執拗ないびり・・・

“絶対負けられない男たち”の戦いの結末はどうなるのか?
すべての働く人へエールをおくる長篇小説です。


銀行内部を赤裸々に描きます。
組織と人とのかかわりも超現実的で組織人であれば体験したことのとある
組織の不合理性を見事に描いています。

私はおもしろくてすっかりはまって読んでしまいました。

読んだ後はちょっと寂しさを感じさせる本です。


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驚くべき未完の物語

13番目の物語(下)(ダイアン・セッターフィールド著)
<NHK出版>定価1,800円+税

著名なベストセラー作家でありながら、
本当の姿を明かすことなく生きてきたヴァイダ。

古書店を手伝いながら小さな伝記物を書いて静かに暮らしていたマーガレット。

ふたりがひとつの作品に取りくんだとき、
とてつもない「真実の物語」が産声をあげた。

守りぬかれた秘密、禁じられた遊び、決して揃わないカード…
そして、最後に謎を解く鍵を握る者はだれか。

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驚くべき未完の物語

13番目の物語(上)(ダイアン・セッターフィールド著)
<NHK出版>定価1,800円+税

古書店で本に埋もれて働く目立たない「わたし」に、一通の手紙が届いた。
差出人は、プライベートのすべてが謎に包まれた有名女流作家。

手紙は、「わたし」を磁石のようにひきつけて離さなかった。
なぜなら、自分についてのすべてを「わたし」に語るというのだ。

手紙に導かれた先は、作家が孤独に住まうヨークシャーの屋敷。
そこで語られはじめたのは、驚くべき未完の物語だったのです。

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魔都に天使のハンマーを


傷だらけの天使(矢作俊彦著)
<講談社>定価1,700円+税

日本中を震撼させたテレビドラマ『傷だらけの天使』。

そのラストシーンから三十余年後、木暮修は新宿を離れ、公園で宿無し生活を送っていました。
しかし暴行により意識不明になった仲間が自分の身代わりだったことを知り、
姿を見せない敵を突き止めるため、弟分の亨を死なせた街、新宿に再び足を踏み入れます。

ドラマファンの期待を大きく上回り、
ドラマを知らずとも一気に世界に入り込める、
圧倒的エンターテインメントです。

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日本の古典を読む

おくのほそ道 芭蕉・蕪村・一茶名句集(井本農一他著)
<小学館>定価1,800円+税

目次は次の通りです。

おくのほそ道(百代の過客/旅立ち ほか)
芭蕉・蕪村・一茶名句集(芭蕉名句集(春の部/夏の部 ほか)
蕪村名句集(春の部/夏の部 ほか)
一茶名句集(春の部/夏の部 ほか))

“夏草や兵共が夢の跡”
“菜の花や月は東に日は西に”
“痩蛙まけるな一茶是に有”
いつ読んでも新しい三大俳人の名句の数々!

原文の魅力をそのままに現代語訳と解説ですらすらよめる新編集です。

私のサイトです。
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