文学・評論: 2009年5月アーカイブ

危険きわまりない“遊び”

9・11倶楽部(馳星周著)
<文藝春秋>定価1,800円+税

地下鉄サリン事件で妻子を失った救急救命士が出会った、
新宿で生きる戸籍のない子供たち。

理不尽で惨めな境遇に追いやられた彼らがはじめた、
危険きわまりない“遊び”とは?

正義感あふれる大人が社会の裏側で生きる子供達の世界に
どんどん引き込まれていく様子が丁寧に描かれています。

おもしろくて一気に読んでしまいました!(笑)

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究極の楽園

平等ゲーム(桂望実著)
<幻冬舎>定価1,500円+税

瀬戸内海に浮かぶ「鷹の島」。
そこでは…島民1600人が、全員平等です。

現代社会の歪みを是正するために生まれた、
究極の楽園。

人々は、嫉妬や私欲にかられることなく、
何不自由ない豊かな生活を約束されている。
まさに、天国。の、はずだったのですが。

平等という名の裏に潜む課題を問題提起する書です!


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究極の官能物語

不倫純愛(新堂冬樹著)
<新潮社>定価1,400円+税

結婚生活15年を超え、
夜の営みを重荷に感じていた編集者・京介。

そんな京介を誘ってきたのは、
売れっ子作家・岡セイジの若き美人秘書・澪香だった。

背徳と知りつつ、
過激な性愛に溺れていく美女と野獣。

その関係に気づいた岡は、
京介の妻・真知子にそっと魔の手を伸ばす。

黒新堂が描く、究極の官能の物語です。

結末のどんでん返しにはびっくりです!

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結果はすべて自分で引き受けてみせる

ダブル・ファンタジー(村山由佳著)
<文藝春秋>定価1,695円+税

奈津・三十五歳、脚本家。

尊敬する男に誘われ、家を飛び出す。

“外の世界”に出て初めてわかった男の嘘、
夫の支配欲、
そして抑圧されていた自らの性欲の強さ。

もう後戻りはしない。

女としてまだ間に合う間に、
この先どれだけ身も心も燃やし尽くせる相手に出会えるだろう。

何回、脳みそまで蕩けるセックスができるだろう。

そのためなら、そのためだけにでも、
誰を裏切ろうが、傷つけようがかまわない。

「そのかわり、結果はすべて自分で引き受けてみせる」。

次第に強さを増していく女性の姿を丁寧に描いた作品です!

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渾身の書き下ろし小説

エイジハラスメント(内舘牧子著)
<幻冬舎>定価1,400円+税

日本の男はなぜ若い女ばかりが好きなのか?
女は年をとったら価値がないのか?

全ての女が直面する問題をあぶり出し、
女にとっての「充実した人生」とは何かを探る書です。

男性でも何となく女心がわかる本です。

ちょっとコミカルだけれど、強烈な問題提起をしている本です。

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感動時代長編

ほうき星(山本一力著)
<角川書店>定価1,600円+税

目次は次の通りです。

第1章辰巳の夜空
第2章天保五両判
第3章野分

第4章珊瑚の看板
第5章落日映えて

七十数年に一度現れる「ほうき星」が江戸に輝いた天保六年。

さちは、絵師・黄泉とさくらの娘として深川に生まれた。

両親の愛情と下町の人情に包まれ、
幸せな子ども時代を過ごすが、
まもなく思いもかけない不幸に襲われる。

両親の死、
慈しんでくれた祖母の死を乗り越え、
やがて絵師としての天分を発揮するが…。

どんな苦難のなかでも凛として生きた娘を描く感動時代長編です。

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幻の名著

めだかの列島(今井美沙子著)
<清流出版>定価1,500円+税

目次は次の通りです。

1 五島の女たち
(母のすがた/残飯とりのおばさん/魚売りのおばさんたち/五島の子供たち)

2 木賃宿のごたる我家
(「人の世話ば出来るとも天国へん近道たい…」/めだかのごちゃる人間どん/「どうせ泳ぐんなら澄んだ川がよか」)

小さい島で肩寄せ合い助け合って暮らした日々の記録。

熱烈なファンを持つ今井美沙子のデビュー作です!


何となく心温まる書です!


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感動と圧巻の大傑作長編小説

私という運命について(白石一文著)
<角川書店>定価705円+税

目次は次の通りです。

大手メーカーの営業部に総合職として勤務する冬木亜紀は、
元恋人・佐藤康の結婚式の招待状に出欠の返事を出しかねていた。

康との別離後、彼の母親から手紙をもらったことを思い出した亜紀は、
2年の年月を経て、その手紙を読むことになり…。

女性にとって、
恋愛、
結婚、
出産、
家族、
そして死とは?

一人の女性の29歳から40歳までの“揺れる10年”を描き、
運命の不可思議を鮮やかに映し出す、
感動と圧巻の大傑作長編小説です。

後半のクライマックスシーンは思わず涙してしまいました。(苦笑)


運命というものを考えさせられる本です!

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文章構成の基本的ルール

論文の書き方(清水幾太郎著)
<岩波新書>定価700円+税

目次は次の通りです。

1 短文から始めよう
2 誰かの真似をしよう
3 「が」を警戒しよう

4 日本語を外国語として取扱おう
5 「あるがままに」書くことはやめよう
6 裸一貫で攻めて行こう

7 経験と抽象との間を往復しよう
8 新しい時代に文章を生かそう

論文やリポートは、なかなか書けないものです。

もとより「いかに考えるべきか」を離れて
「いかに書くか」は存在しえないのえdす。

著者は当代一流の文章家です。

その文体の明晰暢達はひろく知られています。

著者の多年にわたる執筆経験に即しながら、
文章というものの秘密を教えられ、
文章構成の基本的ルールを興味深く学ぶことができる書です。


ちょっと硬い本ですが、内容は充実しています。

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真の救済の在り処を問う

仮想儀礼 下(篠田節子著)
<新潮社>定価1,800円+税

スキャンダルの末、教団は財産を失う。

しかし、残った信者たちの抱える心の傷は、
ビジネスの範疇をはるかに超えていた。

家族から無視され続けた主婦、
ホテルで飼われていた少女、
実の父と兄から性的虐待を受ける女性…

居場所を失った者たちが集う教団は、
次第に狂気に蝕まれてゆく。

「カルト」の烙印を押された聖泉真法会。

さまよえる現代の方舟はどこへ向かうのか?

現代人の心の病を巧みに描いた作品です。

上下巻ともにかなり厚い本ですが、
おもしろくて、一気に読んでしまいました!


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二十一世紀の黙示録的長篇サスペンス

仮想儀礼(上)(篠田節子著)
<新潮社>定価1,200円+税


信者が三十人いれば、食っていける。

五百人いれば、ベンツに乗れる。

作家になる夢破れ家族と職を失った正彦と、
不倫の果てに相手に去られホームレス同然となった矢口は、
9・11で、実業の象徴、ワールドトレードセンターが、
宗教という虚業によって破壊されるのを目撃する。

長引く不況の下で、大人は漠然とした不安と閉塞感に捕らえられ、
若者は退屈しきっている。
宗教ほど時代のニーズに合った事業はない。

古いマンションの一室。

借り物の教義と手作りの仏像で教団を立ち上げた二人の前に現れたのは。

現代社会の問題点と人間心理を巧みに描いた作品で
かなりハマって一気に読んでしまいました!

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感動の長篇ミステリー

償い(矢口敦子著)
<幻冬舎文庫>定価648円+税

目次は次の通りです。

1.火災の第1発見者
2.必然の偶然
3.泣き声が聞こえる

4.夏にウサギが死んだ
5.あんたが犯人であってほしい
6.人の心を殺しても罰せられない

7.私が救った少年
8.理由は単純明快
9.生きていていい

36歳の医師・日高は子供の病死と妻の自殺で絶望し、ホームレスになった。

流れ着いた郊外の街で、
社会的弱者を狙った連続殺人事件が起き、
日高はある刑事の依頼で「探偵」となる。

やがて彼は、かつて自分が命を救った15歳の少年が犯人ではないかと疑い始めるが…。

絶望を抱えて生きる二人の魂が救われることはあるのか?

感動の長篇ミステリーです。

本当におもしろくて、どんどん物語の中に引き込まれて行きました!

複雑な人間心理を見事に描いた作品です。

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祖母・齋藤輝子の生き方

猛女とよばれた淑女(斎藤由香著)
<新潮社>定価1,400円+税

目次は次の通りです。

プロローグ 茂吉の「をさな妻」
第1章 輝子と父の物語
(輝子の好きな人―黒柳徹子さん、兼高かおるさん/アフリカ二ヶ月の旅 ほか)

第2章 世界百八ヶ国豪傑旅行
(イルクーツクで腸閉塞/北極圏で氷原を三時間歩く ほか)

第3章 失われた日記
(輝子と由香のハワイ旅行/ドキドキの銀座デート ほか)

第4章 追憶の輝子
(準備万端のスーツケース/茂吉の故郷を訪ねる ほか)

エピローグ 三十年ぶりに見つけた絵葉書

齋藤茂吉の妻にして北杜夫の母である輝子。
その波瀾の生涯を記した書です。

明治28年生まれの輝子は、
大病院のお嬢様として乳母日傘で育ち、
9歳で齋藤茂吉と婚約。

一流を好みながら贅沢を嫌い、
権威をものともせず、
明治女の気骨をもって

関東大震災、東京大空襲などの困難を毅然と乗り越えました。

茂吉を看取ってから海外旅行に目覚め、
89歳で亡くなるまでに
なんと世界108ヶ国を旅しました。

気高く烈しく送った生涯を
人気エッセイストである孫娘が綴る傑作評伝です。


本当にエネルギッシュな行動には驚かされます!


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谷村文学の誕生

昴(谷村新司著)
<KKベストセラーズ>定価1,500円+税

目次は次の通りです。

起節 秘密のリズム
第一節 家族が食卓
第二節 Yoo No Boy

第三節 空の豆
第四節 中天の星
第五節 「G」

第六節 プロポーズ
第七節 丹頂鶴  
結節 タマとマリ

家族ドラマ、
時代劇、

ファンタジー
そして恋愛物語

異なる時代と世界観が重なり合い
大きな感動のうねりを呼ぶ
谷村文学の誕生です。

著者のいろいろな才能を感じさせる本です。
細かい所に仕掛けがあって、楽しめる本です。

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