文学・評論: 2009年10月アーカイブ
勇気と励ましを送る一冊
がんと向き合って(上野創著)
<晶文社>定価1,400円+税
目次は次の通りです。
1 「入院した。入籍する」
(予期せぬ告知/戦線離脱 ほか)
2 死の何がそんなに怖いのか
(「残念ながら進行がんです」/あくまで社会復帰を目指します ほか)
3 「峠」と言われた夜
(超大量化学療法/医師と患者 ほか)
4 影あって光きわだつ
(復帰/一年遅れの結婚式 ほか)
「睾丸腫瘍」―26歳の新聞記者が突然、がんの告知を受けた。
ただちに左睾丸の切除の手術を受けたものの、
がんはすでに肺全体に転移していた。
心配なのは恋人のこと。
「僕は、この先どうなるかわからない“不良物件”」。
ところが彼女は、「大丈夫、私がついているから」とにっこりした。
さらに数日後、彼女はいきなり満面の笑顔で言ったのだ、「結婚しよう」。
超大量化学療法、2度の再発、3度の肺の手術
…著者は3年間の闘病のすえ、
現在、報道の第一線に復帰している。
ひとはひとりで死んでいくけれど、
ひとりで生きることはできない。
苦悩とともに生きるひとへ、
勇気と励ましを送る一冊です。
読んでいるうちに何度も涙してしまいました。
弱さも強さも含めた
人間という存在の素晴らしさを感じさせてくれる本です!
更にパワーアップした第3弾
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(J.K.ローリング著/松岡佑子訳)
<静山社>定価1,900円+税
夏休みのある日、
ハリーは13歳の誕生日を迎えます。
あいかわらずハリーを無視するダーズリー一家。
さらに悪いことに、
おじさんの妹、
恐怖のマージおばさんが泊まりに来ます。
耐えかねて家出するハリーに、
恐ろしい事件がふりかかります。
脱獄不可能のアズカバンから脱走した囚人が
ハリーの命を狙っているというのです。
新任のルーピン先生を迎えたホグワーツ校で
ハリーは魔法使いとしても、
人間としてもひとまわりたくましく成長します。
さて、
今回のヴォオルデモートとの対決は?
更にパワーアップした第3弾です!
ハラハラドキドキの第2弾
ハリー・ポッターと秘密の部屋(J.K.ローリング著/松岡佑子訳)
<静山社>定価1,900円+税
魔法学校で一年間を過ごし、
夏休みでダーズリー家に戻ったハリーは
意地悪なおじ、おばに監禁されて餓死寸前。
やっと、親友のロンに助け出されます。
しかし、
新学期が始まった途端、
また事件に巻き込まれます。
ホグワーツ校を襲う姿なき声。
次々と犠牲者が出ます。
そしてハリーに疑いがかかります。
果たしてハリーはスリザリン寮に入るべきだったのだでしょうか?
ヴォルデモートとの対決がその答えを出してくれます!
ハラハラドキドキの第2弾です!
歳から108歳までのファンタジー!
ハリー・ポッターと賢者の石(J.K.ローリング著/松岡佑子訳)
<静山社>定価1,900円+税
ハリー・ポッターは孤児。
意地悪な従兄にいじめられながら11歳の誕生日を迎えようとしたとき、
ホグワーツ魔法学校からの入学許可証が届き、
自分が魔法使いだと知ります。
キングズ・クロス駅、
9と3/4番線から紅色の汽車に乗り、
ハリーは未知の世界へ。
親友のロン、
ハーマイオニーに助けられ、
ハリーの両親を殺した邪悪な魔法使いヴォルデモートとの運命の対決までの、
息を飲む展開です。
とにかく面白いの一言に尽きます。
映画では味わえない、丁寧な描写は本ならではです。
映画でカットされた部分まで十分に味わってください!
英語の世紀の中で
日本語が亡びるとき(水村美苗著)
<筑摩書房>定価1,800円+税
目次は次の通りです。
1章 アイオワの青い空の下で「自分たちの言葉」で書く人々
2章 パリでの話
3章 地球のあちこちで「外の言葉」で書いていた人々
4章 日本語という「国語」の誕生
5章 日本近代文学の奇跡
6章 インターネット時代の英語と「国語」
7章 英語教育と日本語教育
「西洋の衝撃」を全身に浴び、
豊かな近代文学を生み出した日本語が、
いま「英語の世紀」の中で「亡びる」とはどういうことか?
日本語と英語をめぐる認識を深く揺り動かし、
はるかな時空の眺望のもとに鍛えなおそうとする
書き下ろし問題作です。
日本語の素晴らしさを再認識させる書です。
心揺さぶるファンタジー
聖夜の贈り物(百田尚樹著)
<太田出版>定価1,200円+税
目次は次の通りです。
魔法の万年筆
猫
ケーキ
タクシー
サンタクロース
恵子はクリスマス・イブに、
長年勤めてきた会社から解雇を言い渡された。
人のことばかり考えていつも損をしている恵子は、
この日もなけなしのお金を、
ホームレスにめぐんでしまう。
ホームレスは
「この万年筆で願いを書くと願いが三つまでかなう」
と言って一本の鉛筆を恵子に渡すとニヤリと笑ったのだが…。
不思議な鉛筆をめぐって起こる奇蹟を描いた
『魔法の万年筆』ほか、
5人の女性たちをめぐる心揺さぶるファンタジーです。
読んだ後になんだか心軽くなる本です!
長編恋愛小説
娼年(石田衣良著)
<集英社。定価400円+税
恋愛にも大学生活にも退屈し、
うつろな毎日を過ごしていたリョウ、二十歳。
だが、バイト先のバーにあらわれた、
会員制ボーイズクラブのオーナー・御堂静香から誘われ、
とまどいながらも「娼夫」の仕事をはじめる。
やがてリョウは、さまざまな女性のなかにひそむ、
欲望の不思議に魅せられていく…。
いくつものベッドで過ごした、
ひと夏の光と影を鮮烈に描きだす、
長編恋愛小説です。
性愛の深淵
逝年(石田衣良著)
<集英社>定価1,400円+税
リョウ、二十歳の夏。
恋愛にも、
大学生活にも退屈した日々を送るなか、
ボーイズクラブのオーナー・御堂静香に見出され、
とまどいながらも「娼夫」の仕事を始める。
やがて、
リョウは女性たちのなかにひそむ、
さまざまな欲望の不思議に魅せられていく。
性愛の深淵を透明感あふれる筆致で描く長編小説です。
知らず知らずのうちに物語の中に引き込まれていく作品です。
現代医学の抱える問題
インターセックス(帚木蓬生著)
<集英社>定価1,900円+税
生殖と移植では「神の手を持つ名医」と評判の岸川卓也院長が率いる、
贅沢な施設と高度な医療を誇るサンビーチ病院。
泌尿婦人科医の秋野翔子は岸川に請われてこの病院に勤務することになった。
そこでは性同一性障害やインターセックスの患者たちへの
性転換手術やさまざまな治療が行われていた。
翔子は「人は男女である前に人間だ」と主張し、
人知れず悩み、絶望の淵にいた患者達のために奔走する。
やがて翔子は、彼女に理解を示す岸川の周辺に
不可解な変死が続いていることに気づく…。
神が創り出した少数派の人間たちの魂の叫び、
身体と魂の尊厳。
医学の錯誤を見据える世界初テーマに挑む、
衝撃と感動のサスペンス大作です。
男性と女性の中間の存在であるインターセックスの存在についてこの本で初めて知りました。
関係者の苦悩とともに、現代社会と医学界に問題提起を投げかける書です。
事前調査をよくされていると感じさせる是非とも読んで頂きたい本です。
最後に意外な結末が待っている、ハラハラドキドキの作品です。