文学・評論: 2016年4月アーカイブ
15歳で集団レイプされた少女が風俗嬢になり、さらに看護婦になった理由
私は絶対許さない [ 雪村葉子 ] |
目次は次のとおりです。
私が死んだ日
誰も守ってなんかくれない
勃たないヤクザに買われた日
セックスと摂食障害とエヴァンゲリオン
愛人を捨て、家を捨てて、東京へ行く
おっぱいキャバクラ、新宿
オーガズムって何ですか?
大丈夫だ。僕の手は君を優しく撫でるためにある
死んだ少女からの冷酷な眼差し
結婚五年目で現れた夫の本性と、私の中の悪魔
風俗以外に私が生きる道
車椅子の同僚に襲われた日
昼、看護学生。夜、デリヘル嬢
人間は皆、唯一無二の奇形である
5歳にして性犯罪被害者となった著者が、
これまでの歩みと、性犯罪被害を赤裸々に綴る書です。
15歳の娘を持つ親としてはあまりにもショッキングな内容です。
改めて、普段からどんなことがあっても、なんでも話し合える関係を持っておきたいと強く感じます。
<ひとは昔、唯一無二の奇形なんだよ。>
ストーカーの書店員が引き起こす歪んだ愛の結末は?
YOU(下) [ キャロライン・ケプネス ] |
愛に飢えるベックにとって、ジョーは自分のすべてを受け入れてくれる存在だった。
二人はお互いを必要とし、激しく求め合う。
しかし、彼女はついに、ジョーのおぞましい正体に気付いてしまう。
別れ話を切り出したベックに、ジョーがとった想定外の反応とは?
ストーカーの書店員が引き起こす、歪んだ愛の結末は、個人的には、残酷過ぎる感じがします。
YOU(上) [ キャロライン・ケプネス ] |
NYの書店員ジョーは、店頭で見初めた女子学生・ベックのクレジットカードから、フルネームを知る。
ツイッターやブログを閲覧して、出自や関心事を掴む。
自宅を割り出し、尾行も始める。
ついには外出先で危機に瀕した彼女を、寸前で助け出した。
何も知らないベックは、ジョーに運命的な出会いを感じ始めるのだった。
ちょっとクセのある作品で、好き嫌いがはっきりすると思います。
日本語と個人主義
「私」を生きるための言葉 [ 泉谷閑示 ] |
目次は次のとおりです。
第1章 日本語と日本人
(「あなた」とyouは同じか/普遍的人称代名詞を基盤とする社会 ほか)
第2章 「世間」と言葉ー「世間」内言語について
(モノローグ的世界/察する文化 ほか)
第3章 自他の区別
(0人称の自他/「経験」からの逃避 ほか)
第4章 個人主義と利己主義
(夏目漱石の「私の個人主義」/「個人主義」とは何か ほか)
第5章 日本語で「私」を生きるために
(「主語」を立てると何が起こるか/一人称を生きる日本人の言葉 ほか)
すべての人間は透明な言葉を生むようにできている。
気鋭の精神科医が豊富な臨床経験をもとに、
日本語に潜む神経症性を徹底分析します。
言語の作用や日本語の特性に目を向ける作業から始めて、
そこから炙り出されてくる近代以後の日本人の姿を問い直し、
近代的な輸入概念である「個人」「社会」「個人主義」といったものについても、
精神性の根幹において本当に受容していると言えるかどうか、あらためて考える書です。
日本語について改めて考えさせられます。
<印象に残った一文>
「私は私でいい。」